第416章 奥様と呼ばないで

中林真由が目を覚ました時、日は既にすっかり落ちかけていた。

彼女は一人、部屋に取り残されている。周囲には、今野敦史の匂いだけが充満していた。

ただ目を開け、身じろぎもせずに窓の外を見つめる。

街灯がぽつりぽつりと灯り始め、空は完全に闇へと沈んでいく。

大粒の涙が頬を伝い落ちた。もう、お父さんはいないのだ。

奇妙な話だが、ここ数年、中林大樹がそばにいなくても、彼女は何とも思わなかった。

それどころか、以前中林大樹が接触してきた時、いっそ消えてしまえばいいとさえ思ったことがある。

それなのに、なぜ。

かつてはあんなに自分に尽くし、慈しんでくれたお父さんが、突然あんな風に変わってし...

ログインして続きを読む