第427章 スキャンダル

 ぷっ――

 隣に立っていたウェイトレスが、とうとう堪えきれずに吹き出した。そのまま気まずそうに頭を下げて、そそくさと奥へ走り去る。

 村上晴雄が舌打ちする。やはり平野歩美が、こんな安い挑発で引き下がる女ではないことくらい、わかっていたはずなのに。

「お前が北村一馬と離婚するなら、すぐにでも籍を入れよう」

 ネクタイをゆるめながら、声には焦りがにじむ。

「俺ほどお前を愛してる男なんて、他にいないだろ」

「その愛とやらで、平気で酔って他の女と寝られるんだ? 安っぽい愛ね」

 平野歩美は唇を歪める。

「お前だって、俺と結婚しようとしたのは金目当てだろ。じゃなきゃ、わざわざ俺みたい...

ログインして続きを読む