第429章 対峙

平野歩美は冷ややかな視線を村上晴雄に向け、もはや口を利く気さえ失っていた。

自分が酒を飲んだかどうかなど、本人が一番よく分かっている。

いつ盛られたのかは分からないが、薬を使われたという感覚に狂いはないだろう。

ドアを蹴り破らんばかりの音が響く中、この瞬間の歩美の頭は奇妙なほど冷静だった。すべては村上晴雄の仕組んだ罠だということを、彼女は悟っていた。

外にいるのは十中八九、北村一馬だ。彼ら全員、まんまと嵌められたのだ。

歩美は無意識に下腹部へと手を添えた。あの薬が胎児に影響していないか、それだけが気がかりだった。

だが、警察を呼んでも無意味だということも理解していた。

村上晴雄...

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