第440章 恋の鞘当て

弁護士として長年のキャリアを持つ平野歩美の直感は、鋭い。

これほど人里離れた別荘でありながら、監視カメラが見当たらない。それは逆に、この辺りの警備体制が極めて厳重であることを物語っていた。

彼女は一眼レフで周囲を撮影すると、すぐにスマホの画面で拡大し、慎重に照合を始めた。

訴えられるリスクさえなければ、ドローンを飛ばして一帯を空撮したいところだ。

だが、この別荘地は明らかに一般人の住む場所ではない。危険な賭けはできなかった。

ほどなくして、彼女は異変に気づいた。ある別荘の前に、黒塗りのベンツが二台停まっている。

それ自体は珍しくもないが、メルセデス・ベンツの中に控えているのはボデ...

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