第454章 誰を守るか

今野敦史はカップを取り上げ、コーヒーをひと口含んだ。相変わらず、表情はほとんど動かない。

江口海は横に置かれた書類に目を落とし、署名を済ませたようだった。

村上晴雄が眼鏡を指で押し上げる。口元には終始、柔らかな笑みが浮かんでいる。

「まさか中林文生が自殺するとは、誰も思わなかったでしょう。あの性格からして、帳簿を差し出すとばかり思っていた。おまけに中林真由は今野社長の彼女でもある。本来なら、すべては掌の上だったはずなんですがね」

本来なら――そのはずだった。

だが、すべてが崩れた。

白石健人が戻り、中林真由が消えた。そこで、すべてが変わってしまった。

「ええ、誰も想定していなか...

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