第475章 馬鹿野郎

「早く休め」

そう言い置いて、今野敦史はくるりと背を向け、寝室を出ていった。

廊下の先、扉のそばには今野夫人が薬碗を手にしたまま立っていた。

「敦史、あんたは毎日忙しいのに、こっちまで行ったり来たりさせて……本当に悪いね。お医者さまも呼んではみたけど、お父さんの具合は相変わらずでさ。いっそ海外の名医に診てもらったほうがいいんじゃないかと思ってねえ」

「あなたが余計なことさえ口にしなければ、それでいい」

冷え切った声が返ってきた。

「敦史……あんた、何か勘違いしてないかい? 私は何も言ってないよ。お父さんだって会社じゃまだ顔が利くんだ。あの人らが勝手にしゃべるのまで、私には止めよう...

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