第479章 もう戻れない

千葉雄太はごくりと喉を鳴らし、視線をせわしなく彷徨わせながら、荒い息を吐いた。

いい大人同士だ。中林真由がその意味を察せないはずがない。

千葉雄太は、彼女に惚れている。

以前は気にも留めなかった些細な出来事が、この瞬間に一本の線となって繋がった。

千葉雄太は彼女を愛している。それも、少なくとも数年にわたって密かに想い続けてきたのだ。

「私のお母さんを助け出すのを、手伝って」

中林真由の声は羽毛のように軽く、千葉雄太の心臓を掠め、甘い痺れをもたらした。

千葉雄太は肩をすくめた。

「中林秘書、俺は医者じゃないんだぞ。それに、今野さんが海外から医療チームを呼んだはずだろう? まさか...

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