第480章 パスワード

病室に辿り着いた頃には、面会時間をとうに過ぎていた。

だが、今の中林真由にとって時間の早遅などどうでもいいことだった。どうせ、彼女はずっと昏睡したままなのだから。

先日、上村賢人と出かけた際、すでに石田渉の安否については確認済みだ。

今野敦史は彼を重用しているらしく、谷間へは送らず、海外の重要なシンポジウムに参加させているという。

中林真由は、今野敦史が石田渉をそれなりに厚遇していることを知り、少しだけ胸を撫で下ろした。

石田渉は意識がはっきりしているし、いつでも逃げられる。今、救い出さなければならないのは母さんだけだ。

集中治療室の前まで来ると、やはり隅の方に電子ロックがあるの...

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