第493章 君は安全だ

予想していた痛みは訪れなかった。今野敦史が踏み込み、そのナイフを素手で掴み止めたからだ。

刃が掌を貫通し、滴り落ちた鮮血が中林真由の肩を濡らす。

彼女は目を見開いたが、今野敦史の姿はすでに涙で滲んで見えた。

「放せ」

今野敦史が冷徹な声で命じる。

中林真由は鼻で笑うと、さらに力を込めた。

今野敦史は痛みなど感じていないかのように、ナイフを死守して離さない。

「今野敦史、私が生きている限り、どんな手を使ってもあなたを殺してやる! 私の家族の元へ地獄道連れにしてやるわ!」

彼女は悲鳴のように叫んだ。

一瞬でも復讐を諦めようとした自分が恨めしい。ただ母さんと静かに暮らしたかっただ...

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