第75章 難癖

「私が得をしたわ」中林真由の綺麗な瞳が、なんの情欲も宿さずに彼をまっすぐに見つめた。

「今野社長はスタイルもいいし、顔も格好いい。この小娘が三年間もあなたを想い続けていたんですもの。もちろん、私が得をしたに決まってるじゃない」

彼女は手を伸ばして今野敦史の頬を撫でようとしたが、その手はすぐに彼によって叩き落とされた。

今野敦史は危険な光を宿して目を細める。「中林真由、いい度胸だな」

彼は力任せに彼女の顎を掴み、その瞳の奥に他の感情を探ろうとした。しかし、中林真由の表情は終始変わらない。

彼女は怒ってもいないし、未練もない。ただ静かに彼を見つめているだけだ。

どうすれば今...

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