第76章 蜂を招き蝶を引き寄せる

全員の視線が二人に注がれた。江口花でさえゲームの手を止めている。

最初に立ち上がったのは山崎奈々未だった。「竹田秘書、あなた、何してるの?同僚に手を上げるなんて」

「わざとじゃないわよ。手が滑っただけ。それに、もう謝ったじゃない。まだ何か文句あるの?」竹田南は白目を剥いた。

彼女は自分が悪いとは思っていなかった。これはほんの懲らしめであり、中林真由に自分も甘く見られるような存在ではないと思い知らせるためのものだった。

中林真由は額を押さえ、冷ややかに竹田南を一瞥すると、ファイルを手に取り、そのまま投げ返した。

「これはあなたが担当するプロジェクトよ。あなたが処理すべきものだわ」

...

ログインして続きを読む