第6章
達彦は、私の腰を強く抱き寄せる北畠の手を穴のあくほど睨みつけていた。その凶悪な視線は、今にもその腕を切り落とさんばかりだ。
「彼女から手を離せ!」
獣のような咆哮を上げ、理性を失った猛獣さながらに突進してきた達彦は、北畠の胸倉を力任せに掴むと、憎々しげに私を睨みつけた。
「葵! こんな人前で見知らぬ男に抱きつくとは——お前はそこまで男に飢えているのか!」
「見知らぬ男、か」
北畠は手を離すどころか、さらに強く私を抱き寄せた。口元にこの上なく軽蔑しきった冷笑を浮かべ、まるで下水道を這い回るドブネズミでも見るかのように達彦を見下ろす。
「どこから湧いて出たゴミ屑か知らんが、俺の...
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