第10章

リーア視点

 だが今夜、ゼインは戻ってこない運命にあった。

 銀鬣議会の法執行長老がやって来たからだ。

 早朝、守衛が慌ただしく駆け込んで報告してきた。

「アルファ! 銀鬣議会の法執行長老、アルドリヒ様が来訪されました!」

 ゼインが眉をひそめる。

「何をしに来た」

――銀鬣議会。狼人社会において最古の権力機関。七つの血脈からなる名家で構成され、各狼群の仲裁権を握っている。

 法執行長老アルドリヒ・ソーンクロー。表向きは領地を巡視し伝統を守る立場だが、実際は職権を乱用して己の勢力を拡大している男だ。偽善的で強欲、常に他領地の資源を狙っている。前世でも「伝統に背いた」という罪を...

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