127-呼びかけと説得力

彼は一瞬黙り込み、それから肩を怒らせて、早口でまくしたてた。

「彼女をデートに誘いたいんです電話番号を教えてもらえませんか」

すべてを一息で言い切ると、彼はそのまま二の句を継ぐこともなく、ただ息を詰めて待っている。

「いいわよ」と、私はあっさり快諾した。

彼はショックのあまり、手に持っていたタオルを床に取り落とした。どうやら断られると思っていたらしい。

「本当ですか? 彼女に確認とかしなくていいんですか?」

私がからかっているのではないかと疑っているような口ぶりだ。私は思わず笑ってしまった。

「彼女ならもう了承済みよ。二人が出会った日に言われたの。『彼が勇気を出して番号を聞いてき...

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