185-誠実さと憎しみ

家に近づくと、近所の住人たちが窓からこちらの様子をうかがっているのが見えた。その中の一人、子供に向かって明るく小さく手を振ってみたが、すぐにカーテンの裏に隠れてしまった。ドアを破壊した音は少し大きすぎたようだし、これは少々奇妙な状況だろう。まだ警察が来ていないのが不思議なくらいだ。

もっとも、来たところで警察に何ができるわけでもない。シフターのアルファは、配下のシフターに対して絶対的な権限を持っている。もしベラミーが彼女を投獄したいなら、ただ彼女を警察署まで連行して身分を明かし、どれくらいの期間ぶち込んでおくべきかを告げるだけで済むのだ。

誓ってもいいが、種族ごとの刑務所が存在しない唯一の...

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