211-ビルディングとボンディング

皆が必死に部屋を見回し、ハリーがいないことに気づく。私たち全員が一様にぎょっとした顔を見合わせる中、アルファ・コーエンとマリーだけがキョトンとしている。もっとも、それは彼らがハリーのことをよく知らず、私たちがなぜこれほど心配しているのか理解できないからだろう。彼は一体どこへ行って、何をしているのやら。彼のことは大好きだけれど、パーティーで監視なしにしておくべき人物ではないのだ。ふと、あることに気がついた。なぜキャムはあんなに後ろめたい顔をしているの?

「キャム……何か言っておきたいことがあるんじゃない?」私は疑わしげに尋ねる。彼女は肩をすくめた。

「つまり、その、大したことじゃないのよ。ち...

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