216-欲望と意志

アレックスと会う時、私はひどく緊張してしまう。彼がいつものノートパソコンを取り出し、私が「まさか本格的なプレゼンでも始める気じゃ」と疑い始めている準備作業を見守った。

「アレックス……もしかして、パワーポイントを作ってきたの?」私は声に批判的な響きが混じらないよう気をつけながら尋ねた。

「はい。最近僕はずっと挙動不審でしたし、これまでの打ち合わせはいつも土壇場だったので、言いたいことを事前にまとめる余裕がなくて。やっと時間ができたので、僕だってどもらずに話せるんだってところをお見せしようと思いまして。その……考える時間をいただけるなら、ですが」彼は居心地悪そうに指摘した。

「ああ、それは...

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