70-体験とイベント

時間を確認してから朝のアラームをセットし、サイドテーブルに携帯を放り投げた。眠ろうと思えば眠れる時間だ。でもまだそんな気分じゃない。リラックスするために映画でも見ようかな。ドラマは駄目だ。エピソードものを選んでしまったら、ハマってしまって徹夜で一気見することになりかねない。一話か二話で止める自制心なんて、私にはないから。

私はノートパソコンを手に取り、洗いたての布団に潜り込んで体勢を整える。無限にある枕の山に沈み込み、そこで電気を消し忘れたことに気づいて、小声で毒づいた。あーあ。手を叩いて電気を消すあの馬鹿げた発明品も、今となってはそう馬鹿げたものには思えない。抜歯を宣告された時のような不承...

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