88-昼寝と神経

彼が私の抱える問題から話題を逸らす主導権を私に譲ってくれたのだと気づき、私はほっと息を吐き出した。

「ううん、彼女、戻ってすぐに自分の部屋に駆け込んじゃった。宿題があるって言ってたけど、たぶん一人で今の状況を整理する時間が欲しかっただけだと思う。明日には話したくなるはずよ。もしかしたら、今夜遅くかもしれないけど」

私がそう説明すると、彼は頷いた。

「そうか、そうだよな。それなら分かる。その……君は彼女に何を話すつもりなんだ?」

彼は不安げに尋ねる。

「あなたの『赤い糸』について話すかどうかってこと? 正直なところ、まだ決めてないわ。彼女が何を聞いてくるかによるもの。もし知りたがってい...

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