第16章 保釈

矢野郁真は冷たい金属の椅子に腰掛けていた。口元は切れ、拳の関節は血まみれだった。

警察官がドアを押して入ってくる。

「お前が殴った相手、鼻骨が折れてるぞ。相手側三人揃って「そっちから手を挙げてきた」と主張しててな、傷害罪で告訴するつもりだそうだ」

「……あいつらが先に手を出したんだ」 郁真の声はガラガラに掠れていた。

「バーの防犯カメラが故障しててな、証言してくれる人間がいない」警察官は彼を見下ろした。「弁護士を呼ぶか、示談金を払って示談にするかだ。相手の言い値は一人五十万、三人で計百五十万円だ」

郁真はぎゅっと拳を握りしめた。

「誰か身元保証で呼び出せる人間はいないのか? 親とか...

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