第17章 黒を白と言い曲げる

警察署からの帰り道、矢野汐里はずっと泣いていた。

「お兄ちゃん、ごめんなさい……全部、私のせい。私を助けようとしたから、お兄ちゃんが喧嘩することになって、警察署にまで連れていかれて……キャプテンにも、きっと嫌われた……」

矢野郁真はシートにもたれ、目を閉じたまま言う。

「泣くな。お前のせいじゃない」

「でも、キャプテン……」汐里はしゃくり上げた。「私がわざとあの男たちを誘ったって、絶対そう思ってる。お兄ちゃん、信じて。私、ほんとにそんなことしてない」

「分かってる」

郁真は目を開け、淡々と続けた。

「舞香にそんなつもりはない」

「ほんと?」

汐里が顔を上げる。睫毛には、まだ...

ログインして続きを読む