第24章 忍耐

小林舞香が取り合おうとしないのを見て、矢野郁真は歩調を速め、彼女の前へ回り込んだ。

「少し話そう」

小林舞香は彼を見た。目の温度はひどく低い。

「まだ何を話すの?」

「学校が君を職務停止にして調査するつもりだって聞いた」矢野郁真が問う。

小林舞香は鼻で笑った。

「あなたのお父さんの指示じゃない。今さら私に確認する必要ある?」

いわゆる「保護者」と呼べる立場にいるのは、権力を握る矢野行正しかいない。

矢野郁真は深く息を吸った。

「舞香、俺も父さんとは話した。でも今は完全に頭に血が上ってて、何を言っても聞かないんだ」

そう言って手を伸ばし、小林舞香の手に触れようとする。けれど...

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