第35章 バザー

チア部の練習場は再開した。封印のテープは剥がされ、扉も開いた。

全国大会のエントリー資格も復活。すべてが元に戻った――はずだった。

けれど、どこか違う。

矢野郁真が、変わってしまったのだ。

彼は毎日きっちり体育館の入り口に立ち、朝は朝食、午後は差し入れのティータイム。ときどき、ちょっとした小さなプレゼントまで持ってくる。高い物じゃない。でも、どれも妙にセンスがいい。

小林舞香が相手をしなくても構わないらしい。ラグビー部の練習がない日なら、必ず顔を出す。

何度か、舞香が体育館でリハビリをしていて夜10時を回ったことがあった。外に出ると、郁真はまだ入口に立っていて、間抜けなほど真っ直...

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