第37章 特権のために

「どうして?」小林舞香が聞いた。

「そりゃ特権のためでしょ!」松本菜々緒が彼女の耳元に身を寄せる。「毎年ウォーミングアップ試合の前にそういう伝統があるじゃん。忘れたの?」

小林舞香はわずかに眉をひそめ、ようやく思い出す。たしかに、そんな慣習があった。

バザーの売上金額がいちばん高かったグループは、チーム内での立ち位置を――自分でも、他人でも――好きに指定して演出できる。

チア部ならセンター希望を出せるし、ラグビーチームなら始球式の役だとか、四分衛だとか。しかも参加者には追加単位までつく。

小林舞香の指が、手首のリストバンドの上でふと止まった。

例年、そこまで必死に争う者はいない。...

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