第42章 原則を失う

その先輩はスマホを取り出し、眉間にしわを寄せて真剣に計算を始めた。

「スマホケース、200個ですよね。全部手描きって話だったし、特殊素材の費用は精算できるって言ってたから、もう明細まとめてあります。今、送ります?」

言い終えた瞬間、視線がいっせいに矢野汐里へ刺さった。

「え、スマホケースって自分で描いたって言ってなかった?」

「じゃあ美術学科に代工させたの?」

「それで『手描き』とか、よく言えるね」

「じゃあ、あのスマホストラップも買ったやつじゃない? 10万0円って……」

先輩は箱の中から、スマホストラップを何本か取り出した。赤い紐に、ラグビーボールのチャーム。矢野郁真が10...

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