第44章 特権を使う

小林舞香が学校に着くと、矢野郁真はもう体育館の前で待っていた。

目の下の隈がひどい。また一睡もしていないのだろう。

舞香の姿を見つけるなり、彼は足早に近づいてきた。

「舞香、バザーの特典だけど、どう使うつもりだ?」

小林舞香はまっすぐ彼を見た。

「わざわざ来たの、それを言うため?」

矢野郁真は気まずそうに表情を曇らせた。けれど、引かない。

「汐里が、あのセンターをやりたがってるんだ。あいつ、ずっと練習してきたし、一回でいいから練習試合で見せたいって」

そう言って手を伸ばし、舞香の手を取ろうとした。

だが舞香は、ぴしゃりと振り払う。

郁真は小さく息をついた。

「舞香。あい...

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