第53章 矢野家の嵐

特殊調査部の聴取を受けたあと、矢野汐里はすっかり腰が抜けたようになっていた。

車に乗ってからも、涙がずっと止まらない。けれど今回は演技じゃない。本気で怖かった。

私服姿の連中は、別に声を荒らげるわけでもない。なのに、飛んでくる質問はどれも急所ばかりだった。何時だったのか。どこにいたのか。誰がドアを閉めたのか。誰がスマホを盗んだのか。

答えはしどろもどろで、穴だらけ。

しまいには、自分でももう取り繕えないと分かっていた。

矢野郁真が運転して、彼女を矢野家まで送り届ける。

道中、二人ともひと言も発しなかった。

郁真は片手でハンドルを握り、もう片方の手にはスマホを握り締めている。画面...

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