第56章 小林家へ戻る

小林建夫の怒鳴り声が電話越しに響き、桜井青木にまで筒抜けだった。

小林舞香はスマホを握りしめ、声が震える。

「……お父さん、私、更衣室に閉じ込められて……ユニフォームも切られて、腕もケガして……」

「ケガだろうが半身不随だろうが知ったことか!」小林建夫が遮る。

「城東プロジェクトを一日止めたら、小林家がいくら損すると思ってる! お前に払えるのか? 今すぐ戻って来い!」

通話はぶつりと切れた。

小林舞香は画面を見つめる。通話時間、四十三秒。

この数年、小林建夫のほうから電話なんて一度もなかった。

初めてかけてきたと思ったら、四十三秒。用件は「戻ってこい」だけ。ケガの具合を問う言...

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