第62章 処分決定を受け入れない

午前1時。矢野郁真のスマホが震え、父からの着信が表示された。

「矢野郁真。木下雅美に送金したの、バレたって? 頭、付いてんのか」

氷みたいに冷たい声を耳にした瞬間、郁真の眠気は吹き飛んだ。

「父さん――」

「この愚図が! 自分でケツ拭け。俺は一切手を貸さん!」

矢野行正は吐き捨てるように言い、電話を切った。

「お兄ちゃん?」

背後から矢野汐里が抱きついてくる。

甘ったるい香水の匂いが鼻を刺し、郁真はぎゅっと目を閉じた。次の瞬間、彼女の腕を外す。

「リビングで寝る」

汐里が一瞬、言葉を失う。

「郁真……?」

郁真はバスタオルを乱暴に腰へ巻きつけ、そのまま部屋を出ていった...

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