第66章 不倫動画

矢野郁真がその番号を押しかけた瞬間、先にスマホが鳴った。

画面に踊るのは矢野汐里の名前。郁真は眉を寄せて通話に出る。

聞こえてきたのは汐里の声じゃない。知らない女の子の、やたら甲高い声。背後では耳をつんざくような音楽が鳴りっぱなしだった。

「矢野汐里のお兄ちゃんですか? 汐里、飲みすぎちゃって……ずっとお兄ちゃんの名前呼んでるんです。迎えに来てもらえませんか?」

郁真はスマホを握ったまま、キャンパスの方へ目をやる。小林舞香の背中は、もうずいぶん遠い。

迷ったのは二秒だけだった。

「場所、送って」

通話を切る。小林修平の番号を連絡先に保存し、結局、発信はしなかった。

二十分後、...

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