第67章 婚約は無効となる

矢野行正がその知らせを受け取った瞬間、足元から世界が崩れ去るような気がした。

藤原家と取り交わしていたはずの協業と出資が、一夜にしてすべて白紙撤回。

理由だけは立派だった――藤原家は、矢野グループを「信頼できる提携相手」とは見なせない、という。

ガシャーン、ガシャーン!

レストランでは食器が床に叩きつけられ、破片が飛び散る。矢野行正は目を血走らせ、使用人たちは誰ひとり近づけなかった。

矢野汐里を矢野郁真が送り届け、二人はその光景を目にする。

二人が連れ立って帰ってきたのを見た途端、矢野行正が怒鳴った。

「昨日、お前たち何をしてた! 言っただろう、汐里は家から出すなって!」

バ...

ログインして続きを読む