第74章 変な打ち上げ

矢野汐里は私立病院の正面玄関で、手首のダイヤのブレスレットを外した。

「木下大輝……また、お願い」

木下大輝はそれを受け取った。目の縁が赤い。

「汐里、ここに隠れてても解決しないだろ。矢野郁真は何で放っておけるんだよ。お前、あいつの子を――」

「……彼、堕ろせって」

汐里は視線を逸らす。

「それに、小林家と縁談を進めるつもり」

木下大輝は奥歯を噛みしめた。

「ふざけんな。お前はあいつにとって一番近い人間だろ!」

矢野汐里は肩をすぼめるように俯いた。

「彼の目には、私は義理の妹でしかないの。小林舞香が……婚約者」

「……まあ、ここにいるのは正解かもな」

木下大輝はブレス...

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