第79章

木下大輝は去っていった。矢野郁真に残した猶予は、たった三日。

矢野郁真はその場に立ち尽くしたまま、さっき見せられた動画の断片を思い出して、身体の芯から冷えていくのを感じていた。

この瞬間、ようやく分かった。矢野汐里が繰り返してきた「これが最後」「私にはあなただけ」――あれは全部、彼を縛るための甘い嘘だったのだ。

そして自分は、その誘惑に負け続けた。

「二人だけの秘密だ。バレるはずがない」

そうやって、何度も。

小林舞香が戻ってきたら、また舞香とやり直せる。卒業して、結婚して、幸せな人生を――。

いつから降り出したのかも分からない雨の中、矢野郁真はグラウンドに座り込み、濡れるに任...

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