第101章

高級車の車内。

乗り込んでからというもの、谷口凛華はノートPCにかじりつき、指を止めることなくキーボードを叩き続けていた。

会社から緊急の案件を投げられたのだ。

それに、桐生颯馬の様子はそこまで深刻でもない。だから凛華は、ひとまず仕事を優先するしかなかった。

気づけば車が停まっている。

視界の端で颯馬を一度だけ確認し、凛華は焦った声で言った。

「先に中に入ってて。何かあったら使用人に言って」

言い終えるなり、凛華はまた画面へ視線を戻し、作業に没頭する。

桐生颯馬は沈んだ目でしばらく彼女を見つめ――何も言わずに車を降りた。


夕食の時間。

ようやく仕事を片づけた凛華...

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