第11章

せわしない着信音が鳴った。

見覚えのない番号。

谷口凛華は通話ボタンを押す。「もしもし、どちらさまですか」

向こうが、ほんの一瞬だけ黙る。

続いて、いかにも不本意そうな声がした。

「今どこ? ひいおじいちゃんが旧宅でご飯って言ってる。迎えに行くから、一緒に行こう」

子どもの声は幼いぶん、感情を隠さない。言葉の端々から、露骨な嫌悪が滲んでいた。

さっきの痛みをくぐったせいか、凛華の心は不思議なほど静かだった。

「わかった。旧宅の門のところで」

通話を切る。凛華は顔を上げ、目の奥の湿り気を押し戻した。買い物袋を提げ、タクシーを拾って旧宅へ向かう。

夜が落ちる。あたりはしんと静...

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