第119章

エレベーターが、ゆっくりと上へ昇っていく。

中島社長は、自分に非があることを痛いほどわかっていた。

商売でいちばん大事なのは、信用だ。

すでに谷口凛華たちと手を組むことで話はまとまっていた。それなのに、いまさら相手を替える。

さすがに顔が引きつる。

「正直、俺だってこんなことしたくない。でも仕方ないんだよ。考えてみてくれ、うちみたいな小さな会社じゃ、あっちを断れない。断りたくても断れないんだ。……逆にさ、これが君らの立場だったら、断れるか?」

胸の奥に後ろめたさはある。

けれど理性は、これが正しい選択だと言い張っている。

岡野明裕が笑った。乾いた、怒りの混じった笑いだ。

「...

ログインして続きを読む