第120章

オフィスフロアへ視線を投げ、谷口日奈は口元に冷えた笑みを刻んだ。

「なら、さらに上乗せよ。伝えて。結果さえ出せば、会社は絶対に薄情な扱いはしないって」

アシスタントは俯いたまま、小さく返事をする。

谷口日奈の引き抜きは、隠すどころか堂々たるものだった。

彼女にとっては、桐生朔弥を背にしてさえいれば、欲しい人材など簡単に手に入る――そんな感覚なのだろう。

そして翌朝。

岡野明裕が怒りを顔いっぱいに貼りつけているのを見て、谷口凛華は何が起きたのか分からず首を傾げた。事情を聞いた瞬間、思わず笑いが漏れる。

……人って、呆れすぎると笑うんだな。

「笑ってる場合かよ。向こう、また条件吊...

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