第33章

いつの間にか、谷口凛華は山の中腹まで登っていた。

木々が空へ伸び、視界の果てまで続いている。

手を伸ばせば届きそうな場所に絶景があって、目が離せない。

谷口凛華は腰を落ち着けられそうな場所を見つけて座り、ただ黙って景色を眺めた。

どれくらい経ったのだろう。

ぐぅ、とお腹が鳴る。凛華は来た道を引き返した。だがキャンプサイトに戻った瞬間、足が止まる。

……自分しかいない。

桐生朔弥はいない。桐生颯馬もいない。

まあ、慣れている。

また置いていかれたところで、谷口凛華の心は驚くほど平然としていた。ほとんど気にもしない。

せっかく来たのだ。こんな貴重な「ひとりの時間」、ちゃんと味...

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