第51章

「で、聞かせろよ。好きになったのは誰だ? どこかのお嬢様か、それともどこで出会った?」

一斉に向けられた視線を受けても、瀬川尚樹は少しも動じなかった。

「そのうちな。機会があれば会わせる」

表情は変わらない。口調はあくまで淡々としていて、まるで天気の話でもしているかのように軽い。

その様子に、周囲はますます面白がって、笑いながら彼をからかった。

桐生朔弥だけが眉をひそめ、じっと尚樹を見つめていた。

夜になった。

ひと眠りして目を覚ました谷口凛華は、ぐっと背を伸ばしたあと、入院中の祖母のことを思い出し、台所でしばらく手を動かした。用意を整えると、そのまま病院へ向かう。

病室にい...

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