第64章

自分のデスクに戻ると、谷口凛華はモニターに映るダイヤのブレスレットをじっと見つめ、思考の淵へ沈み込んだ。

それに気づいた同僚たちが、思わず足を止める。

「どうしたの? 普段は仕事一筋なのに、ジュエリーなんて珍しいじゃん」

「気に入ったの? でもさ、ああいうハイエンドのオークションって、誰でも入れるわけじゃないよ。身分っていうか、条件がいるでしょ」

高級オークションは入場前に資産確認がある。資産が億にも満たない者は、そもそも門前払いだ。

それだけじゃない。資産が足りても保証金が必要で、会員登録も必須。要するに、何か一つ買うだけでも条件はやたらと厳しい。

ここにいるのは一応エリート揃...

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