第68章

時は、ゆっくりと過ぎていく。

桐生朔弥が俯いてスマホを見つめるのを目にした瞬間、谷口凛華の心臓は喉元までせり上がった。

けれど、どれだけ待っても返事は来ない。

失望に視線を引っ込めた凛華の隣で、谷口礼央が苛立ちを噛み殺すように言った。

「いいよ、別に。あれがなくても、代わりなんていくらでもあるし」

お婆さんが知ったら、きっと止めたはずだ。身代の大半を投げ打ってまで、ブレスレットを買うなんて。

物がある限り、取り返す機会はいつか来る。けれど金は、他にも使い道がある。

凛華はすぐに気持ちを落ち着かせ、口元にかすかな苦笑を浮かべた。

一方。

桐生朔弥は画面に表示されたメッセージを...

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