第75章

時はじりじりと過ぎていく。

会社の周年記念パーティーの開幕が目前だというのに、司会者からは何度も催促が入った。いつ始めるのか、と。

けれど――広い宴会場に、人影はまばらだった。

笹木お婆さんの顔色はみるみる険しくなり、不機嫌さが隠せない。

笹木明子は焦りで顔面が真っ青だ。

谷口凛華は眉をひそめた。理由はわからない。ただ、どうしても――この件には谷口日奈が絡んでいる気がしてならない。

ほどなくして、杉浦哲雄が足早に駆け寄ってきた。

「いったいどういうことだ。客が少なすぎる。これからメディアが来てこの光景を撮られたら、うちの会社はどうなる?」

笹木明子も堪えきれず、声が尖る。

...

ログインして続きを読む