第83章

谷口凛華はパソコンを見つめたまま、しばらく考え込んだ。

「……どうしても行かなきゃだめ?」

正直、社会人になって何年も経つのに、いわゆる接待の席は今でも苦手だ。食事の場で仕事の話をするのが、どうにも好きになれない。

岡野明裕は神妙にうなずく。

「うん。絶対に必要だ」

そこまで言われてしまえば、岡野明裕の会社で働く身として断る理由はない。

夜。

きっちりとしたスーツに身を包んだ谷口凛華と岡野明裕は、店の前に立っていた。

中へ入った瞬間、二人の視界に飛び込んできたのは――ステージの上の「家族」だった。

桐生朔弥と谷口日奈が、甘い空気をまとって並んで立っている。

その真ん中にい...

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