第87章

深夜――。

けたたましい着信音が鳴り響いた。

電話に出た谷口凛華は、顔色を変える。

「……すぐ行く」

病院まで車で30分の距離。凛華は20分で叩き出すように駆けつけた。

車を停めた瞬間、凛華はドアを蹴る勢いで飛び出し、そのまま救急の前へ走る。

救急室の扉の前。笹木明子の頬に涙の跡が残っているのを見た途端、凛華の胸がひゅっと縮んだ。足早に近づく。

「伯母さん……どうしたんですか」

明子は怒りで肩を震わせていた。

「全部、あんたの母親のせいよ! 夜中にうちへ乗り込んできて、酒臭いまま喚き散らして……『全部お前らが悪い、凛華を甘やかしたからだ』って! それであんたのおばあさんと口...

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