第91章

「そうよねえ。今までは桐生颯馬くんのお母さんが保護者会に来てたのに、今回は颯馬くんがお父さん連れてきて……それに、もう一人女の人まで。どう見ても三人で家族って感じだったわ」

「名門って、ほんと色々あるのよ。私たちには事情なんて分からないし、口は慎んだほうがいいわね。まあ、うちらには関係ない話だけど」

教師たちはくすくす笑いながら、あっという間に廊下の先へ消えていった。

桐生颯馬は物陰からそっと出て、その背中を見送る。

目の縁が、じわりと赤く滲んだ。

コツ、コツ、コツ。

革靴が床を叩く音。

顔を上げると、反対側から桐生朔弥が歩いてきた。朔弥は腰を落とし、颯馬のふわふわした頭をやさ...

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