第95章

やっぱり、恋愛脳の人間にとっては男がいちばん大事なんだ。

病室で、伯母さんとどれだけ声をかけても笹木志美はまるで反応しなかったのに。

谷口健弘というクズ男が甘い言葉を並べただけで、もう生きようとする目を取り戻してしまう。

……哀れすぎる。

谷口凛華は谷口健弘を冷ややかに一瞥し、そのまま病室を出た。

視線がぶつかると、笹木明子が不満げに鼻を鳴らす。

「全部、運命よ」

「……それで片づけるしかないの?」

凛華がため息まじりに返すと、明子は眉をひそめた。

「でも、どうやってあのクズを呼んだの。大丈夫? なんか様子がおかしかったけど」

明子はわかっている。笹木志美にとって、谷...

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