第96章

外は土砂降りだった。

病院の廊下は人が行き交い、ざわざわと騒がしい。

谷口凛華は視線を落とし、しばらく考え込んでから口を開いた。

「時間が取れるとは限らないし……それに、あなたと谷口日奈が――」

「母親はお前だろ」

桐生朔弥は苛立ちを隠しもしない声で言い、こめかみを押さえた。

「他所の子の保護者会に出て、颯馬がどれだけ傷ついたと思ってる」

「今回は相談じゃない。拒むなら、おじい様から直接電話してもらう」

その瞬間、着信音が鳴り響いた。

画面に表示されたのは、谷口日奈の名前。

桐生朔弥は谷口凛華をじっと見据える。

「とにかく、行け。絶対だ」

谷口凛華は思わず、乾いた笑い...

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