セイ・マイ・ネーム


――フィン――


正直に言うと、頭の中で組み立てたときは、もっとまともなセリフに聞こえたんだ。

完璧な会話を計画するのと、実際にそれを口に出すのとは別物だ。スローンは目を細め、俺をじっと睨みつけている。ノックスとの取引を一番きれいに遂行する方法を探っていたはずだった。俺は兄貴のことをよく知っている――あいつはイカれてるし、言ったことは必ず実行する男だ。だから、やるしかない。スローンを手放すんだ。たとえ今だけだとしても。ノックスの執着は長続きしない。激しく燃え上がっては、すぐに消え失せる。あいつはすぐに次へ行く。そうすれば俺はスローンを取り戻せる。そしてデライラ――デライラ...

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