第57章

拓司が車で柳田佳恋を送り出した後、塚本悟は運転手の何叔の車に乗り、塚本家の実家へと向かった。

和田おばあちゃんは柳田おばあさんの病状を心配して、前回南山から戻ってからずっとここに滞在していた。

おばあさんは塚本悟を見るなり気分が悪くなった。

「何しに来たの？この老婆をあんたに気死にさせたいの？」

塚本悟は眼鏡を押し上げながら、「おばあちゃん、私がどうやっておばあちゃんを怒らせたんですか？」

「和田啓二、まだ私を怒らせてないなんて言うの？」和田おばあちゃんは怒りのあまり彼の本名で呼んだ。彼女がこの名前を使うときは、本当に怒っている証拠で、しかも機嫌を直すのが難しい種類の怒りだった。

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