第15章 おならさえこんなに大きい音がする

ドリアンの濃厚な匂いが鼻腔を満たす。けれど、その奥に紛れた――ごく薄い薬の気配を、江川莉奈は一瞬で嗅ぎ取った。

伏し目がちに手元のケーキを見下ろすと、瞳の奥を小さな愉悦がよぎる。

田口百花が、こんな手で自分を嵌めに来るとは。……面白い。

「ほら、早く食べなさいよ。ぼーっとしないで、江川莉奈!」

田口百花が身を乗り出す。声の端に、抑えきれない焦りが混じっていた。

隣では田口七海が瞬きもせず、莉奈の一挙手一投足を見張っている。

心の中では、狂ったように叫んでいた。

清神大学の金融学科だか何だか知らないけど――食べた瞬間、親戚の前で恥さらしてみろ。二度と調子に乗れないようにしてやる。...

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